3月25日の内合以来、明けの明星として明け方の東の空で輝いている金星が、6月6日に西方最大離角を迎える。最大離角とは、地球から見て金星と太陽との成す角度が最も大きくなったときのことで、金星の場合は45度前後になる。もちろん観望好機であることは言うまでもない。ただし、金星の地平高度は最大離角の時期によって2倍近く違ってくる。その理由は、黄道と地平線との交わる角度が時期によって異なるからだ。
明け方の東の空で黄道の地平線に対する傾きが最も小さくなるのは春、反対に最も大きくなるのは秋だ。だから初夏の明け方の東の空では、黄道の傾きはまだ比較的小さいため、金星の高度はあまり高いとはいえない。金星が東の空に昇るのは午前2時前後、日の出30分前の高度は23度ほどで、明けの明星としてはちょっと物足りない。しかし光度は−4.4等と、1等の100倍を超える猛烈な明るさなので、朝焼け空での存在感は十分すぎるほどだ。
さて、金星のように地球の内側を回る惑星は、月と同じように満ち欠けするが、最大離角のころの金星を望遠鏡で見ると、ちょうど半月状をしていることが分かる。表面は二酸化炭素の厚い雲に覆われ、模様らしきものは見えないが、これから外合まで、形と視直径がどんどん変わっていく。続けて観察すると、だんだん満ちて円くなりながら視直径が小さくなってゆくようすが楽しい。金星は明るいため、小型望遠鏡でもその形をデジカメで簡単に撮影できる。学校の自由研究のテーマとして最適だ。ところで、もうひとつの内惑星である水星も、金星の後を追うかのように6月13日に西方最大離角を迎える。金星の場合と同じ理由で、日の出30分前の高度は、およそ7度と決して高いほうではないが、明るさは0等級なので東の空の透明度さえ良ければ、見つけるのはそう難しいことではないだろう。望遠鏡で見ると水星も半月状をしているが、視直径が金星の3分の1しかないうえ、低空の悪シンチレーションのため、くっきりした半月状に見ることは難しい。
明け方の東の空には、来年1月に接近を控えた火星も1.1等の明るさで精一杯光っている。そんな火星と金星が6月21日に、わずか2度の間隔で並ぶ。 |